やまと言葉を遡る−李寧煕の解読を基に− おわりに
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 おわりに

 『まなほ』が終刊して半年ほどした二〇一六年秋のある日、仕田原猛さんからお電話をいただいた。今書いている原稿のチェックをお願いしたいという内容だった。しかし二〇一七年の年が明けても連絡がなかった。原稿の進捗が遅れていると思っていたところ、奥様の順子さんから夜中に倒れて入院したこと、手術を受けたが下半身が全く動かないこと、そして一度奈良へ来ていただきたいと希望しておられるとの電話をいただいた。
 数年前から健康を害され、杖をつかなければ歩けなくなって、それでも、精力的に各地を実地踏査していらした仕田原さんが、大量の原稿を手に車いすに座っておられた。二〇〇八年に自費出版された『李寧煕が解いた古代地名を歩く』のような書籍を想像していた私は、仕田原さんが『李寧煕が解いたやまと言葉の語源辞典』を目指して作業を進めていたと初めて知った。『語源辞典』は『まなほ』終刊後の「李寧煕後援会」の使命であるとは自覚していたが、中々着手できなかった。仕田原さんに背中を押していただいた。しかし、『語源辞典』はあまりに膨大な作業を必要とする。
 仕田原さんの長年のライフワークであった「植物和名の語源」追求と様々な論文を中心として、一冊にまとめる作業をお引き受けした。『李寧煕後援会』に毎年「原稿料の一部」として賛助を続け、李寧煕先生の説を証明するため全国各地を歩き回って寄稿、李寧煕先生の取材来日の際には費用を全て負担して、下調べの上同行してくださるなど「李寧煕後援会」を影になり、日向になって支えて下さった。お手伝いできてうれしく思っている。
 今回、『まなほ』会員の斎藤淳子さんに編集上たいへん助けていただいた。お礼申し上げます。
               「李寧煕後援会」会報『まなほ』編集長辻井一美
 
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