李寧煕先生のオッカケが選んだ"李寧煕語録集"
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01 どろどろとした溝のような障害を跳び越す勇気02 「五十年後」の新しい世代のために
03 万葉研究に積み重ねられる一つの石04 海を渡っていくと、文化はより眩しく開花する
05 万葉集はたぐい稀な世界の宝06  "平安万葉集"−平安時代に再創作された万葉集−
07 韓国語が日本語に変貌する過程−第三のケースとは08 語末音が消され、濁音が清音化され....美しい日本語
09 「雑歌」とは、雑多な歌か?10  万葉集は「もう一つの日本書紀」
11 上代における「韓流」の波、三度の波12 日本に古代韓国語の形跡を深く残す
13 ただならぬ二つの「恋愛事件」、源氏物語のモデルに14 フシギな日本語−韓国語ではないかとうたがう
15 世界に類ない独創的借字文である吏読表記16 吏読で日韓の古文書を読むと「もう一つの古代史」が
17 濃霧が晴れ熾烈な政権争いの情景が…18 万葉集は類(たぐい)稀な「歌う歴史書」
19 枕詞は「捨て子」20 枕詞はざらに主題であり重要な歌辞そのもの
21 音を立てて崩れつつある「万葉学」の虚城22 捨て子「枕詞」と歪んだ姿の「非枕詞」を救う日
23 日本古代語は韓国語の領域内に24 李寧煕が初めて明らかにした日本語の「語源のたどり方」

会報『まなほ』…(ま)  もう一つの万葉集…(一)  枕詞の秘密…(枕) 天武と持統…(天) 日本語の真相…(真) 
フシギな日本語…(フ) 甦える万葉集…(甦) 怕ろしき物の歌…(怕) 出典は主に単行書のはじめに(序文)です。ページにリンクがある場合は、クリックすると詳しい内容を見ることができます。   




     李寧煕先生のオッカケが選んだ"李寧煕語録集"

 
 01どろどろとした溝のような障害を跳び越す勇気 
  古代韓国語が日本語になっているという事実。これを認めること
 は、 日本の方にとってある種の「勇気」を必要とするものです
(もち
 ろん、そうでない方も大勢おられますが……)。日本と韓国の間に阻(は
 ば)かっている、あのどろどろとした溝のような障害を跳び越す勇気。
  ⇒(真)17p  [TOP]
 
 
 02「五十年後」の新しい世代のために
  溝をなくすのに、五十年はかかるということなのでしょうか。でも、
 「五十年後」の新しい世代のために、私はいま「一本のリンゴの木」
 を植えましょう。この一冊の本(『日本語の真相』)が、そのリンゴの木
 です。  ⇒(真)18p  [TOP]
 
 
 03万葉研究に積み重ねられる一つの石
  日本の神社の原型のような韓国の城隍堂(ソナンダン)には、道の通り
 すがりの人々がめいめい石を一つずつ祈願をこめて積み上げ、小石の
 山をつくっていきます。私の万葉集の解読作業も、万葉研究に積み重
 ねられる一つの石になるならばそれ以上望ましいことはありません。
  ⇒(一)「はじめに」10p  [TOP]  
 
 
 04海を渡っていくと、文化はより眩しく開花する
  万葉歌を読んでほとほと感心するのは、その歌のもつ卓越した二重構造
 性です。日本、韓国、中国、三つの国の語文を一つにまとめて自国語へと
 昇華させ、自由奔放に歌った詩歌は他のどの国のどの時代にもみられなか
 ったことと思われます。
  万葉歌の豊饒な語彙と繊細な言語感覚、そして歌意の含蓄性とでも申し
 ましょうか、その重畳性は実に天才的です。
  『海を渡っていくと、文化はより眩しく開花する』というトインビ
 ーのことばは、まさに万葉歌のためにあるようです。
  ⇒(一)「はじめに」9p  [TOP]

 
 05万葉集はたぐい稀な世界の宝
  日本最古の歌集。全二十巻 四千五百余首。主に七世紀中半から八世紀
 中半に至る約百年間、上は天皇・皇族・高官から下は無名の民衆によっ
 て詠まれた『万葉集』は、たぐい稀な世界の宝といえよう。
  ⇒(ま)No1-6p   [TOP]
 

 06"平安万葉集"−平安時代に再創作された万葉集− 
  今日「万葉集」の名で広くよまれているもの、それは"平安万葉集"
 と呼ばれるべきものです。なぜなら、これらは万葉仮名で表記された韓国
 語を、日本語であるという前提に立って再創作した歌集であるからです。
 〃平安万葉集〃的秀歌の例
 「秋(あき)の野の み草刈り葺(ふ)き宿(やど)れりし 宇治(うじ)のみや
 この 仮廬(かりいほ)し思ほゆ」額田王作(真の意味は(一)181p)
  ⇒(一)「平安万葉集について」15p   [TOP]
 

 07韓国語が日本語に変貌する過程−第三のケースとは
  韓国語が日本語に変貌する過程は、次の三つのケースにまとめられま
 す。 @音韻変化の法則によるケース。A意味の変化によるケース。
   B吏読(韓国式万葉仮名)表記を日本式に音よみすることによる
 ケース。そしてBのケースは、世界に類例のない、韓・日間独自の変化の
 法則を示すものです。これに関する研究は私がやっと始めたばかりで
 す。⇒(真) 16p  [TOP]

 
 08語末音が消され、濁音が清音化され...美しい日本語
  韓国語という母胎から生まれた日本語。 
 語末音が消され、濁音が清音化され、濃音(強い破裂音)がやわらげら
 れ、語意がメタフォア化され……ついに「詩」として韓国語から昇華し
 ている美しい日本語。この奇蹟の言語の前で、私は文化の偉大さに圧
 倒されます。日本語はなんと奥深く流麗な言葉であることでしょう。 
  ⇒(真)17p   [TOP]
 

 09「雑歌」とは、雑多な歌か?
  「雑歌」とは一体何でしょう。『古語大辞典』(小学館)は、この
 「雑(ざふ)歌」を「和歌や俳諧の分類の一つ。歌集では雑多な歌」と説明
 しています。常識的には巻末に置くべき「その他、雑」を冒頭に置いたの
 は何故でしょう。これに対しても、私の考えをここにはっきり述べておき
 ます。『万葉集』の「雑歌」には、「雑多な歌」の意味はありません。
 「雑歌」は、「雑歌(ジャブノレ)」と読むべきものです。韓国語で「ジャ
 ブ」とは「取る」の意、「ノレ」は「歌」のこと。「ジャブノレ」とは
 「取り歌」即ち「国取りの歌」「政権取りの歌」、つまり「政争歌」
 です。  ⇒(甦)10p、(ま)No1−14p  [TOP]

 
 10万葉集は「もう一つの日本書紀」
  『万葉集』は、「もう一つの日本書紀」です。いえ、「正しい日本書
 紀」であると言い直さなければならないでしょう。古代韓国語(高句麗・
 百済・新羅など地方別の方言を包括する古語)で正しく訓み直すことによ
 って、『万葉集』は『書紀』を補い、真の正史を伝える貴重な史料として
 今生まれ変りました。『万葉集』は甦(よみがえ)ったのです。
  ⇒(甦)12p  [TOP]

 
 11上代における「韓流」の波、三度の波
  上代の韓国人たちは、紀元前三世紀あたりから日本にどっとやって
 来た。その集団移動は、およそ「三つの波」に大きく分けられる。
 第一の波は紀元前三世紀から紀元前二世紀 伽耶(ガヤ)・新羅(シンラ)の
 波で「農耕・鉄器文化」をもたらした。第二の波は紀元四世紀末の百済の
 波で「技術集団の渡来」、「千字文などの漢籍」をもたらし、第三の波は
 紀元七世紀後半の百済・高句麗の波。660年の百済滅亡、668年の高句麗滅
 亡にあたり、両国の権力層は学者・僧侶・医者などあらゆる分野の専門家
 や技術者を伴い、日本に集団亡命を決め込む。いわゆる、「今来(イマキ)
 の人々」である。⇒(ま)No1-6p、(真)13p  [TOP]  
     
 
 12日本に古代韓国語の形跡を深く残す
  三つの大きな「古代韓国人(特に支配集団)渡来の波」は、その必然的
 結果として、日本に古代韓国語の形跡を深く残すことになる。言葉は、
 支配者の言葉で支配されるからである。第一の波による伽耶・新羅言葉
 の跡。第二の波による百済言葉の跡。特に漢字の日本式音読・訓読に与
 えた百済言葉の跡。第三の波による百済・高句麗ことばの跡。特に文化語
 に見える百済・高句麗語の跡。
  これら複合的堆積の上に、飛鳥ならびに奈良時代の日本語は形成される
 ことになる。いわゆる「やまと言葉」である。八世紀初めに刊行された
 『古事記』『日本書紀』『風土記』の中の万葉仮名部分が、古代韓国
 語で訓める理由がここにある。全文万葉仮名で綴られている『万葉
 集』はいうまでもない。 ⇒(ま)No1−8p、(真)14p  [TOP]
      
 
 13ただならぬ二つの「恋愛事件」、源氏物語のモデルに
  『源氏物語』にはモデルがあった。『万葉集』のうち、柿本人麻呂と
 文武天皇、及びその周辺の人々による数多くの歌を古代韓国語で訓(よ)み
 直して行くと、ただならぬ二つの「恋愛事件」があらわになる。
  ⇒(ま)No1-17p   [TOP]
 

 14フシギな日本語−韓国語ではないかとうたがう
  「飛鳥(あすか)」「白馬(あおうま)」「紙縒(こよ)り」など、日本語に
 は、フシギなことばが晴れた夜空の星ほどもあるのです。これはいったい
 何をあらわす、何語なのでしょうか。結論として、ただ一言申し上げまし
 ょう。日本語としてどうにも解けないことばは、一応、韓国語ではな
 いかとうたがってごらんになって下さい。
  ⇒(フ)12p  [TOP]
       
 
 15世界に類ない独創的借字文である吏読表記
  漢字の音と訓とを徹底的に混用して幅広く古代韓国語をあらわした借字
 文が「吏読(イドウ)」(郷札(ヒャンチャル)とも呼ばれた)なる表記法で
 す。 この世界に類ない独創的借字文である吏読表記の技術を導入して、よ
 り簡明に、当時の言葉を表記しようとしたものが、「万葉仮名」の名で識
 られている「日本式吏読」です。まかふしぎなこの借字法(「日本式吏
 読」)を否定するかぎり、千二百年前に書かれた日本の古文献を判読す
 るということは、これからまた千二百年かけても不可能でしかありま
 せん。⇒(天)9p  [TOP]

 
 16吏読で日韓の古文書を読むと「もう一つの古代史」が
  『万葉集』を訓み解く、そして『記・紀』を読む、韓国の古史書『三国
 遺事』と『三国史記』、中国の歴史書も併せて読む……これを丹念に繰り
 返し、北東アジア的フォーカスから人物相互の関係を洗っていくと、何と
 そこに現われるのは、私たちが探し求めて止まなかった霧の中の歴史
 の真の姿であるのです。私は、これを「もう一つの古代史」と名づけ
 ようと思います。⇒(天)10p  [TOP]
             
 
 17濃霧が晴れ熾烈な政権争いの情景が…
  「七世紀にさかのぼると、濃霧にすっぽり包まれてしまう…」。日本の
 古代史にかかわる記述の多くは、このような書き出しで始められていま
 す。そこで私は、次のような言葉で本書を書き始めたいと思います。『万
 葉集』 を古代韓国語で訓(よ)み解(と)けば、濃霧はさらさら消え失
 せ、七世紀の日本が鮮やかに現われて来るでしょう−そしてその姿。
 それは熾烈な政権争いの情景です。⇒(怕)5p  [TOP]
         
 
 18万葉集は類(たぐい)稀な「歌う歴史書」 
  誰が誰とどのように古代の政権を取り争って来たのか、『万葉集』はこ
 れに関する克明かつ冷静な大実録であり、類(たぐい)稀な「歌う歴史
 書」であると、私は断言して憚(はばか)りません。 
  ⇒(怕)5p  [TOP] 

 
 19枕詞は「捨て子」
  前著「もう一つの万葉集」で明らかにしたように、「万葉集」は韓国語
 で詠まれたものでした。そして今まで皆さまが「万葉集」と思いこんでい
 たものは、「万葉集が日本語で詠まれた」というまちがった前提に立って
 訓(よ)み下されたものだということが分かりました。前提がまちがってい
 れば、服の第一ボタンをかけちがったように、次から次へとまちがい
 を生みます。枕詞というのは、この「まちがい」から生まれた子供の
 ようなものなのです。いや、「捨て子」と呼んだ方がよいかもしれま
 せん。 ⇒(枕)7p  [TOP]  
 

 20枕詞はざらに主題であり重要な歌辞そのもの
  意味がないとされてきた枕詞は、その歌において非常に重要な役割を果
 たしています。意味がないどころか、また全体の主意にかかわらないど
 ころか、枕詞はざらに主題であり、主題にかかわるものであり、モチ
 ーフであり、モチーフにかかわるものであり、単なる形容句でなく、
 重要な歌辞そのものであるのです。それも、大部分、古代韓国語なので
 す。私はこのことを、実例をもって証明するために本書(『枕詞の秘密』)
 を書きました。⇒(枕)7p  [TOP]

 
 21音を立てて崩れつつある「万葉学」の虚城 
  本書(枕詞の秘密)では、「ひとごとを」「ゆふされば」「にきたつ
 に」の三つを、「枕詞でありそうで枕詞でないことば=(非枕詞)」の例と
 してとり上げることにしました。結論から申しますと、これらの一群のこ
 とばは、「解けたと勘違いされていることば」です。わかり易くいいます
 と、「枕詞」は意味がないと規定したために、「解けた」、つまり
 「意味がある」とされた一群のことば(実は誤訳なのですが)は、
 「枕詞」といっしょに丸めてくずかごに放りこむわけにいかなくなっ
 てしまった、ということなのです。 
  まったく、これでは学問もなにもあったものではないのですが、「万葉
 学」というのは、こうして築き上げたばかでかい虚城なのです。今そ
 のお城が音を立てて崩れつつあります。
  ⇒(枕)10p  [TOP]
 

 22捨て子「枕詞」と歪んだ姿の「非枕詞」を救う日
  枕詞は丸めて捨てられましたが、まちがった前提から生まれた二番目
 の子供である「非枕詞」は、ボタンをつけちがえた服を着て、歪んだ
 姿のまま飛びまわっています。これもなんとか一日も早く救ってあげな
 ければなりません。 ⇒(枕)11p  [TOP]
 

 23日本古代語は韓国語の領域内に
  私は言語学者ではありません。しかし、韓国語と日本語の両方に冷静な
 愛情と特殊な執念を持つ作家です。この水平的な立揚から申し上げます。
 遠からず日本の古代語は韓国の言語学者や文学者によって明快に解剖さ
 れることになるでしょう。韓国古代語の研究が進めば進むほど、日本の
 古代語は韓国語の領域内にすっぽり取り入れられるしかないのです。
  ⇒(枕)13p  [TOP]


 24李寧煕が初めて明らかにした日本語の「語源のたどり方
  古代韓国語→吏読で表記する→日本式吏読表記(つまり万葉仮名)に書
 きかえる→その漢字をそのまま日本式によむことによって生まれた日本
 語が生み出されるという形で少なからずことばが作られたということ
 は、日本語の「語源のたどり方」について重大な意味をもつもので
 す。すなわち、日本語は、一般の音韻の法則だけでは、その語源をた
 どることのできないことばを含む特殊な言語であることを意味するか
 らです。しかも、もしこのような形で作られた日本語が今後の解読の作業
 によって沢山出てくるということになれば、「日本語と韓国語は、同音
 同意のことばが少なくその関係は淡い」という考えもひっくり返って
 しまうのです。⇒(枕)15p-16p  [TOP]  
 
 
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